空手と大島筆記(上本町道場 田中文雄)

『大島筆記』

沖縄の空手について初めて文献にあるのは、1763年沖縄の官船が薩摩に向かう途中暴風に遭い、高知県宿毛市大島の海岸に漂着した際、土佐藩の儒者戸部良熈(とべよしひろ)が潮平親雲上(しびらぺーちん)他52名の乗組員から聞き書きした大島筆記である。潮平親雲上は物頭役で江戸や北京にも数度往来した見識の高い高官だったため、当時の沖縄の地理・風俗・政治・経済等を知る上で貴重な資料である。

その三巻に「先年組合術の上手とて、その技、左右の手のうち、一つは乳の方を押さえ、片手にて技をし、摺足(すりあし)をよくきかせる術なり。はなはだ痩せ弱々しい人でありしが、大力の者、無理に取り付きたるを、そのまま倒したことなどありしなり」と述べている。

(沖縄伝剛柔流空手道 宮里栄一先生著より抜粋)

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